ITコンサルタントが語る必要スキル

ITコンサルタント・平野正喜講師コラム
求められるスキル・資格とその実情 〜 システム分析・開発から運用まで 〜

平野正喜プロフィール

システム開発会社のエンジニアリーダー、マネージャー、採用担当責任者を経て独立し、個人事務所を設立。ヒューマンアカデミー各校に加え、大学、企業教育などにて教壇に立つかたわら、講演、ビデオ教材の作成・出演、書籍や雑誌での執筆でも知られる。著書に、「ケータイビジネスを革新する技術 BREW」や「Eclipse辞典」がある。趣味は音楽と芝居で、見聞きするだけではなくステージに立つこともある。


第64回 基本情報試験の採点講評を読んで春の試験対策を(後編)

■ 前回に続いて、春のITパスポート、基本情報試験にチャレンジする方向けです


 いよいよ春の情報処理試験の開催が近づいて来ました。受験予定の皆さんの準備は進んでいますか? この試験の場合、準備開始が遅れても試験日まで粘ることでボーダーラインに手が届くことが多いようです。特に、ITパスポートと基本情報試験は、出題範囲が広い分、各問題の難度は抑えられており「試験開始直前に参考書をちょっと見ておいた項目が出題されてラッキー」ということが少なくありません。「申し込んではあるけど、勉強が進んでなくて」という方も、諦めずにチャレンジしてみることをお勧めします。


 さて、前回と今回は情報処理試験のレベル1であるITパスポート試験と、レベル2である基本情報試験にチャレンジする方向けのヒントです。この連載の第57回「情報処理試験の採点講評は試験対策に使える」のフォローとして、2009年秋の基本情報試験の「採点講評(※)」を利用した試験対策を説明します。採点講評についての説明、午後問1から問4までのポイント紹介は前回(第63回)をお読みください。今回は問5から問8までを扱います。なお、午後試験では問1から問7までがジャンル別選択問題で、この中から5問を選ぶ必要があり、問8は必須問題、問9以降はプログラム言語別選択問題(1問選択)になっています。


■ 問5:ソフトウェア設計の問題


 午後問5はソフトウェア設計に関する問題で、テーマは「航空券発券システム」でした。採点講評に「航空券発券業務を題材として、UML(クラス図及びシーケンス図)を使用した業務の分析及びシステムの設計について出題した」とある通り、オブジェクト指向分析/設計の知識が要求される問題になっています。基本情報の午後問題におけるUMLの出題はこれが初めてですが、正答率は高かったとのことです。今後もUMLを用いた出題は増えると思われますし、ITパスポートでも、H21年秋問47でオブジェクト指向設計の特徴を問う問題が出題されています。重点的に学習しておきましょう。


■ 問6:ITサービスマネジメントの問題


 問6はインシデント及び問題の管理をテーマとするマネジメント系の問題です。目的は問題管理のプロセスの見直しであり、管理上の問題点の改善に関する出題になっています。システムの開発ではなく運用におけるトラブルシューティングですので、学生の方や業務経験の無い方には想像力が要求される問題ですが、採点講評によると正答率は概ね高かったようです。しかし、サービスサポートのポイントである、問題管理・変更管理・リリース管理・構成管理などへの理解不足が見受けられたとのことで、マネジメント系問題を選択するかたには、用語のチェックをお勧めします。なお、ITパスポートのマネジメント系ではサービスサポートの知識は必須項目の一つです。サービスサポートがどのような役割・機能から構成されているかを理解しておきましょう。


■ 問7:システム戦略の問題


 選択問題最後の問7はストラテジ系の問題で、テーマは情報システムの効果見積りでした。情報システムの効果が営業利益に与える影響についての理解を求められる問題ですが、ヒントが問題文に盛り込まれていますので、業務経験や関連知識の乏しい方でも、問題文と文中の2つの表をじっくりと読み解くことで正解できたと思います。この問題で用いられている損益計算の考え方は、午前問題の頻出テーマであり、講評にあるとおり、この考え方と営業利益での効果測定に関する知識は、事業を適切に運営する上で重要です。しっかりと学習しておきましょう。なお、基本的な財務諸表の読み方は、ITパスポートのストラテジ系問題の重要ポイントでもあります。チェックをお忘れなく。


■ 問8:データ構造及びアルゴリズムの問題


 問8は午後問題では唯一の必須問題です。テーマは数値計算と計算誤差で、ニュートン法による3次方程式の解法を題材にしています。講評では、実行結果に含まれる計算誤差について考慮する必要があることへの理解を求めています。また、問8は6ページもある長問であり、講評が求めている「説明及びプログラムで示されたアルゴリズムを十分に理解すること」は短い試験時間の中では簡単ではありません。過去問題などを用いた事前の練習を複数回行っておきましょう。


■ まとめ


 ということで、基本情報午後試験のジャンル別選択問題(問1から問7まで)と、必須問題(問8)を対象に「採点講評」を利用した試験対策を説明しました。今回は取り上げませんでしたが、これらに加えて表計算問題を含むプログラム言語別問題から1問を選択する必要があります。春の基本情報を受験する方は、選択予定の言語の「採点講評」も読んでおくことをお勧めします。
 また、レベル3(応用情報試験)及びレベル4試験の採点講評も1月15日から公開されています。基本情報に合格済みで、より上を目指したい方は、市販の参考書をながめる前に、採点講評を試験問題と一緒に読んでみてはいかがでしょうか。出題意図や受験者の回答傾向を知ることにより、試験問題を立体視することができると思います。


(第64回 了:2010年3月)


(※)採点講評のあるIPAの情報処理試験・過去問題と解答のページ
http://www.jitec.ipa.go.jp/1_04hanni_sukiru/mondai_kaitou_2009h21.html

 

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